川 島 雄 三 図 書 館



映画の昭和雑貨店(全5巻)
川本三郎


平成6年から
小学館 \1500


 小学館の雑誌「サライ」に連載されていた川本氏の人気コラム「映画の虫眼鏡」をまとめたもの。「ハーモニカ」や「バラック」といった生活の一面から「引揚者」「モダンガール」などの世相、風俗をテーマにそれらが登場する日本映画の名作を挙げている。構成は実にはユニークで「美女の入浴」「子どもの宝物」そして「駅の別れ」といったテーマもある。(この例で映画のタイトルが浮かぶ人はなかりの通・笑)
 そしてここにも川島作品が次々登場。「とんかつ」の章では『とんかつ大将』と『喜劇・とんかつ一代』の2本をしっかりと、「スクーター」では『洲崎パラダイス・赤信号』と『青べか物語』のやはり2本、「男の道楽」なる章では山茶花究が写真マニアの住職を演じた『雁の寺』、三國連太郎がカジカ狂いの研究者を演じた『あした来る人』、『特急にっぽん』の太刀川寛(鉄道模型)、『箱根山』の佐野周二(郷土史研究)などが丁寧に論じられている。
 平成6年に正編が発売され「続」「続々」から「完結編」まで5巻が揃っている。登場した映画のタイトルとビデオ発売情報が巻末に索引化されており非常に便利。ちなみにそこで数えると実に20本近くの川島作品が登場。全作品の実に3分の1が紹介されていることになる。上記の通り、あまり有名でない作品まで挙げているのがさすがである。
 わかりやすく、かつ愛情に溢れた文章と豊富なスチール写真が素晴らしい。やはりこれも川島ファン、日本映画ファン必読の書である。人気の本ゆえ、大きな書店にはかならず在庫があり入手は極めて容易。






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