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97/08/24
入魂企画
はじめてのJAZZ
世界一わかりやすいジャズ入門
第一回
’ジャズとはこうなっているのだ’



'Ascention'
John Coltorane
1965
(32XD-577 WP)

■序章・ある週末の夜のこと−

 ある週末の夜のこと、何気なくスイッチを入れていたFMラジオから、素敵なJAZZが流れて来ました。しかも、単なるBGMではない、とても心に残るサウンドで「これからこういうの聴いてみたいナ」と、ほんわかと心に決めました。
 翌日、会社の帰りに駅ビルにあるちょっと大きなCDショップに寄りました。残念ながら、昨晩の演奏者も、曲名も覚えていません。でも、同じようなJAZZのCDを何か買って帰ろうと、店員さんに尋ねます。「すいません。JAZZのCDはどこですか?」「あそこの壁の右から左まで、5mくらい全部JAZZですよ」。え?どれを買えばいいの....。

 アーチスト名くらいは知らないとオハナシにならないと思い、とりあえずJAZZの専門誌というのを買ってみました。しかしこれがまたビックリ。なんとかレッドマンとか、ウイントンなんとかという見たことも聞いたこともないような人たちが大スターとして扱われおり、ちょっとだけ知っていたマイルス・デイヴィスも、映画で観たことのあるグレン・ミラーもどこにも出て来ません。う〜ん、これじゃ誰がいいのかわからないや。
 そこで今度はジャズの本を買ってみました。ところがこれこそ困った。「60年代におけるシェップの闘いの道程は潜在的であったブラック・ミュージックの一気の噴出としてラジカルで強固な論理と音楽の構造概念とが....」。何がなんだか全くわかりません。哲学書を買ったわけじゃないのに....。

 「本はダメだ、人に聞こう」というわけで、となりのとなりの部署に勤める猛烈なJAZZ好きというウワサの先輩社員を尋ねました。私がこれからJAZZを聴いてみたいというと、その先輩は突然にこにこしはじめます。「そうかぁ、よし、じゃあ俺がいいのを選んでやろう」。
 その日の帰り、この間のCDショップに先輩は付き合ってくれました。膨大なCDの中から、馴れた手つきで何枚かを取り出し、さらに店員さんに何か確認をしています。さすが数百枚のコレクションを持つという先輩。その雰囲気はまるでミュージシャンのようです。「これは俺のヒーローなんだ」とイスに座った黒人が哲学的な面持ちで楽器を握りしめているCDを、私に力強く手渡します。うん、かっこよさそうだな。なんだ、最初からこうすれば良かったんじゃないか。
 さあ、いよいよ待ちに待ったJAZZサウンドが自分の部屋に流れます。高鳴る鼓動を抑えつつ、買ったばかりのCDをPLAY!ミニコンポのスピーカーから流れて来たのは....「ぎゃるるる、ぎょるるる、どしゃ、めしゃ、ぴぎゃあぁあぁ〜!!!」この世のモノとは思えない雑音の洪水でした。「な、なんなのこのハチャメチャな演奏は?解説、解説...『これぞ究極のフリー・ジャズ』えー!これもジャズなの?先輩、こういうヤツじゃないんですけど(涙)」....。
 えー、これは全くの創り話です。私の体験談でもなんでもありません。しかしこの話は侮れない。あなたの身に明日ふりかかってくるかもしれない恐怖の予言なのです。なんてね。
 お読みになっている方は、いつになったら主人公がラジオから流れていたような「素敵なJAZZ」を手にするのか、気が気ではないでしょう(一部JAZZファンは不謹慎にも腹かかえて笑ってると思いますが)。かようにJAZZとはとっつきにくいもので、JAZZを聴くということは初心者にとって苦労を伴う行為なのです。マジなハナシ、このような試行錯誤の末、結局納得のいくサウンドにたどりつけず「あーもーJAZZなんていいよ」と放棄してドXカムや、コム○に流れてしまった人も多いのではないでしょうか。

 そこでそこで、JAZZに魂を売った男、不肖サダナリが「これからJAZZとか、聴いてみたいナ」という人たちに、わかりやすく、やさしく、痛くないように(特に女性)JAZZの聴き方お教えしましょう!というわけです。

 なにしろ相手は手ごわいJAZZ、かなりの長期連載にする予定であります。毎回ちゃんと読んでいれば、いまはまだ「これから....」のあなたも、そうだなぁ1年くらいで、週末のJAZZ喫茶で泥酔の末マスターとケンカしたり(挙げ句に出入り禁止)、新宿駅前でSAXを吹きまくり、黒いベンツのお兄さんに胸ぐら掴まれて退散(走って転んで楽器破損)するような立派なJAZZマニヤになれますよぉ。「どうどう?ノーミ?シーメ?いいとこ見つけたんだよ。ツェーマンポッキリでさぁ....」といった格調高いJAZZ語もマスター出来るかもしれませんね。う〜ん、ワクワクしますねえ。え?しない?なんで?どうしました、その困った顔は?
 そうそう、ご安心下さい!私は「ぎゃるるる、ぎょるるる、どしゃ、めしゃ、ぴぎゃあぁあぁ〜!!!」ってヤツはお薦めしませんよ、最初のウチはネ、けっけっけ。
 
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 し、しまった。与太話みたいなのでこんなに長くなってしまった。タイトルの内容はどこいった?いったいジャズとはどうなっているのだ?


こうなっているのだ
クリッックするのだ




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